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さらばMAT鬼の伊吹隊長・根上淳氏逝く・・・。

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こんばんは、Gです。昨夜、まぼろしかげほうしさんから驚くべき事を聞きました。MAT2代目隊長で「鬼隊長」こと伊吹隊長役を演じられてた根上淳氏が亡くなった!という事でした。Gは信じられずにネットの訃報ニュースを探し回ったら、やはり去る10月24日に根上氏は脳梗塞で亡くなられた、とのことでした。82歳でした。奥様は歌はもちろん、ウルトラの母が変身した緑のおばさん役でも有名な歌手・ペギー葉山氏。本日27日に喪主を務められているそうである。・・・千葉ロッテ日本一に浮かれている場合ではなかった。不覚である。くしくも24日といえば、「ひいろお倶楽部@」閲覧者総数30000人突破の日。なんというめぐり合わせか・・・天を仰ぐしかなかったGであった。今回は内容を急遽変更して、伊吹隊長こと根上氏を偲びたいと思う。

Gにとって、MAT隊長と言えば伊吹隊長であった。お世辞ではない。Gは帰ってきたウルトラマンに関しては幼少の頃にはベムスター前後から話を見始めてるため(無論、他の再放送で初期も見てはいるが)、加藤初代隊長の話に触れる機会が当初は少なかったので、MAT隊長=伊吹隊長、という印象が強いのである。ちなみに加藤隊長を演じた故・塚本信夫氏に関しては、サドラーの話なども印象的だが、どちらかといえば、スカイライダーや仮面ライダースーパー1をサポートした谷源次郎役の方が、Gとしてはピンとくるのである。

伊吹隊長は加藤隊長がベムスター襲撃後から再開発したMATステーションへ異動すると後任として就任、ニューヨークではゴキネズラと同種の怪獣を倒した凄腕であり、武人魂を見せる「鬼隊長」であった。しかし、厳しいのは全て部下を察してだったり、一般市民を第一にどう守るかを考えているからこそだったりといった概念からの行動であって、前任の加藤隊長とは違ったタイプの人情家である。加藤隊長も剣道から精神を鍛えようとしていた面から考えると、違ったタイプ、という表現は間違いなのかもしれない。しかし、伊吹隊長には歴代の隊長とは違い、家庭を持ってるせいなのか(正確には画面に登場するせいか)、あえて公私混同しないという事を徹底している。その点に関しては後で書かせてもらうとして、その徹底ぶりがウルトラマンシリーズ史上の異色ともいえる存在となっている。

しかし、Gは根上氏、という形で見ると、意外と知らない事が多い。何せペギー葉山氏と結婚してた事すら恥ずかしながら知らなかったのである。ただ俳優としての根上淳、というのを最後に印象付けた作品がGにはある。大河ドラマ「八代将軍吉宗」である。このドラマはジェームス三木氏が脚本という事もあり、かなり豪華な出演者で彩られたが、このドラマは津川雅彦氏演じる五代将軍・綱吉の後継者問題から話は始まる。この当時の御三家、水戸徳川、尾張徳川、紀州徳川で登場するのが、水戸徳川は「黄門様」でお馴染みの天下の副将軍・水戸光圀で演じるは長門裕之氏、紀州徳川は主人公・吉宗の父である徳川光貞で演じるは大滝秀治氏、そして御三家筆頭と目される尾張徳川には根上淳氏演じる徳川光友であった。この個性派揃いの3人が綱吉の後継者問題で争う事となる。長門氏演ずる光圀は水戸家は副将軍職のために自ら将軍にはなれないし、そもそも血筋が第一!と律儀に考えて、細川俊之氏演じる綱吉の甥の甲府藩主の徳川綱豊(のちの六代将軍・家宣)を推し、大滝氏演ずる紀州光貞は綱吉の唯一の子供である斉藤由貴氏演じる鶴姫を妻にした辰己琢郎氏演ずる長男・綱教を養子にしようと画策、そして根上氏演ずる尾張光友は中山仁氏演ずる長男・綱誠を御三家筆頭ということで一族挙げてバックアップするが、中山氏演ずる綱誠は、なんとさくらんぼの食べすぎで早世、一番早くリタイアという形になり、失意の光友がボケてしまうところを根上氏がうまく演じられていたのを覚えている。どうやら、その放映の2年後くらいに根上氏は糖尿病のための療養に入ったようだ。

Gが知ってるのはこの程度である。でも、Gにとっては伊吹隊長、根上淳氏はかけがえのない俳優であり、一本気な性格の役柄を演じさせたら右に出るものはいないとさえ思っている。そう思うとまたさびしくなってくるが、まだ書きつづけなければならない。Gは今朝は朝早く目が覚めて、伊吹隊長の人柄を紹介するに相応しい帰ってきたウルトラマンでのエピソードを書くべく、イラストを描いてみた。そのイラストがこの2体のウルトラ怪獣である。

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発砲怪人グロテス星人とそのグロテス星人が操る魔神怪獣コダイゴンである。これを見ただけでも「なるほど!」と思われる方もいるかもしれない。ゴキネズラやプルーマなど伊吹隊長を語れる話はあるのだが、やはりこの2体の怪獣の話が一番いいような気はするし、Gもすごく印象に残っている話でもある。簡単ではあるが内容を書いていきたいと思う。

帰ってきたウルトラマン第43話「魔神・月に吠える」。脚本・石堂淑郎、監督・筧正典、特殊技術・真野田陽一(敬称略)。MATの隊員たちに無理矢理休暇を取らされた伊吹隊長は妻子を連れて、妻の実家へ帰っていた。伊吹隊長にとっては久々の家族団欒だったが、その様子を猟師風の男がじっと見つめていた。信州の蓮根湖の名物「神渡り」を見る伊吹一家。「神渡り」とは蓮根湖の氷が割れるのを祭るもの。湖の氷がメキメキと割れると、湖の中から怪獣コダイゴンが登場してきた!猟師風の男はグロテス星人だった。グロテス星人は蓮根神社に祭られている御神体を巨大化させて怪獣化させたのだ。そしてグロテス星人は伊吹隊長の妻子を蓮根神社で人質に取り、MATの海底基地破壊を要求してきた。考える伊吹隊長だが、コダイゴンに襲われている村人たちを放っておけない。なんと妻子を見捨て、村人たちを救うためにコダイゴンを攻撃する。計算が狂ったグロテス星人に追い討ちをかけるように心配でやってきた郷秀樹に伊吹妻子を救出されてしまう。巨大化して戦いに挑むグロテス星人。しかし変身したウルトラマンの敵ではなく、ウルトラブレスレットで両断された!グロテス星人の死と共にコダイゴンも元の御神体に戻る。妻子と再会を果たした伊吹隊長は蓮根神社の御神体へお参りする。すると御神体は恥ずかしそうに後姿になるのだった、というもの。

ここで誤解してはいけないのは、伊吹隊長はただ妻子を見捨てたわけではない。妻子も父親・伊吹の行動を信じていた、という点だ。妻子も武人である父親を認め、自分達の命より村人を救ってほしいという願いを伊吹隊長は受けたのである。武人であり、鬼隊長である伊吹隊長とは、そういう不思議な信頼関係を作る事ができる男なのだ。グロテス星人のような小悪党では、この深い気持ちまで読み取る事は出来なかったのである。最後に「すまなかったね」という感じで御神体が後ろを向いてしまうのは、石堂流のご愛嬌。

これで伊吹隊長とはMATにとって、帰ってきたウルトラマンにとって、ウルトラマンシリーズにとって、異色な存在でこれほど支持を得るキャラクターなのがお分かりいただけたであろうか?

この話の最後に昨夜に根上氏の訃報を「怪獣ブログ」のpulog1さんに伝えたところ、このようなコメント書かれていた。「今頃は向こうでムラマツキャップや荒垣副隊長たちから、お疲れ様、とお酒を酌み交わしているだろう」と。そうなのだ。戦っていたのは伊吹隊長だけではない。科特隊のムラマツキャップこと小林昭二氏、MATの加藤隊長こと塚本信夫氏、ZATの朝日奈隊長こと名古屋章氏、同じく荒垣副隊長こと東野英心氏など、我々のために第一線で戦ってきた隊長たちが向こうにいるのだ。リーダーという難しいポジションを頑張ってきた仲間達が。きっと酒も用意しているだろう。糖尿病では根上氏も酒だって飲みたいだろう。根上氏はやっと戦いが終わったのかもしれない。だから、最後の言葉はGもpulog1さんみたいにこう言ってあげたい。

「お疲れ様でした」と。

今回は内容の関係で太字は遠慮させていただきました。それでは、これにて。
by gun_gun_G | 2005-10-27 22:14 | 特撮系
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